今回は視点を変えて上場会社に求められることを考えてみたいと思います。
本日の日経新聞に欧米主導の脱プラ・ESGに関する東レ社長の日覺昭広氏のコメントがありました。
日覺氏が言うには「今になって欧米人がESGやSDGsと言い始めたが、中身を見れば日本企業がすでに取り組んできたことだ。こうした実態を知らず、日本の官僚やNPOは欧米が進んでいる主張し、経営者はうれしそうにSDGsを掲げる。本当に恥ずかしい。」(原文のまま)とのこと。本当にそうでしょうか?
確かに環境問題は昭和40年代の光化学スモッグの時代から日本企業は数々の対策を進め、幾度なく襲ってきた石油ショックを乗り越えるべく省エネルギー対応もしてまいりました。
しかしながら日本企業や産業界には昨今のESGやSDGsといった包括的な取り組みに対する視点が欠如していたのではないでしょうか。
上場企業として大きな事業を行う場合にこうした複合的な視点が求められるようになってきたのは、課題対応型ではなく大局的に問題を解決しようと知る欧米流の取り組みが功を奏してきていると言わざるを得ません。
ただし日覺氏が主張されているように時価総額を上げるのみの経営ではなく取引先や従業員といったステークホルダー全般に配慮する経営は従来から日本企業の優れた点としてもっと認識するべきではないでしょうか。
逆説的にはこうした配慮が、従業員整理や不採算品の撤退を遅らせる要因となってきたため、株主重視経営を標ぼうせざるを得ない時期もありました。
しかしながら現在の大口機関投資家はインデックス投資の比重を増し、ESGやSDGsを重視する企業に対する投資を増やしています。結果的に複眼経営をしている会社が評価され、安定した株主に恵まれると言おう事になります。
日本企業の経営者の皆様には、従来から行ってこられた「三方ヨシ」の経営に磨きをかけてこれからの資本市場でさらに評価を得ていただけるよう、期待しております。