セルウィンコンサルティング

投資行動の変化
2014年5月9日

21世紀を迎えようとしていたバブル崩壊後の経営パラダイムは「選択と集中」でした。すなわち今まで事業を止める、撤退するといった経験のなかった日本企業が、株主に向き合う必要から不採算事業から撤退する必要が出てきたのです。当時コンサルティングでお伺いした中部圏の優良企業の専務から「当社は事業(製品)から撤退した経験がない。撤退を議論する際の物差しを整備してほしい。」との依頼を受けました。

その頃流行していたのがキャッシュフローやROAなどの指標でした。またこれらを組み合わせたスターン&スチュワート社のEVAやその進化形が多くに企業で採用されていました。

では従来日本企業ではどのような投資判断指標が用いられてきたのでしょうか。それは「回収期間法」といって投資金額が何年で回収できるかという単純な算式によるものでした。回収は投資効果による営業利益の純増分を用います。この考え方がバブル崩壊後と決定的に違ったのは、時間概念がない、すなわち割り引かないことです。1年後の回収も10年後の回収も同じ価値として測定します。したがって設定した回収期間内であればいつ回収してもいいのです。極論すれば10年の回収期間の打ち9年間は回収がなくとも10年目に全額回収できれば投資基準を満たしていると看做されます。こうした考え方は高度成長期の経営方針、すなわち事業を拡大して赤字をいとわず利益は後で付いてくる・・・的な考え方に合致していたのでしょう。投資を申請する側にとっては比較的緩い基準であったと思われます。

しかしながら「選択と集中」の時代ではそんな悠長なことは言っておれません。早く回収して、しかも投資は出来るだけ後倒しにできないか・・・そんなことが可能な事業が良い事業と見なされるようになりました。一定期間たっても成果の出ない事業(製品)、ピークを過ぎて利益の出なくなった事業(製品)は止めざるをえないように株主から要請されたのです。

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